「交渉の技術」と呼ばれるものには2種類ある。新興宗教や広告代理店の人たちは、対象から「携帯電話や時計を奪う」ことに心を砕く。コミュニケーションを小さく密に、思考よりも空気が決断を後押しする状況を目指す。こうしたやりかたを病院でやろうものなら、主治医は神様になれるかもしれないけれど、結果が患者さんの期待を下回ったらあとがなくなる。病院ではだから、患者さんに携帯電話や時計を使ってもらうよう、「ここで検索するといろんな人の意見も聞けるし値段も分かりますよ」なんて水を向けて、決断が空気で決まってしまうことを回避しようと努力する。
未知に置かれた人は、他の人がどう思っているのか、漠然と「世間」ではどう反応するのが相場なのか、そういうことを知りたがる。その状況で「これが正しいのです」という空気を吹き込めば場は加熱するし、熱した空気に水をかければ場は冷静さを取り戻す。熱気を利用する人も、そんな場で水を販売する人も、等しく商売人であるには違いないのだけれど、サービス業である以上、やっぱり「水」商売をしたいなと思う。
-
sleeeeep posted this